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春の香り*匂桜*駿河台匂

学生で賑わう駿河台に、江戸城を築いた大田道灌に縁のある駿河台道灌道(するがだいどうかんどう)と名づけられた小径があります。

本郷通りと明大通りの間に位置するこの小径を小川町から神保町方面に向かって歩くと、白い花を咲かせる桜の並木を楽しむことができます。

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並木をつくるのは、17本の駿河台匂(スルガダイニオイ)。

この駿河台匂は、染井吉野(ソメイヨシノ)のように淡いピンクの小ぶりの花びらとは違い、白い少し大きめの花びらを持つサクラで、その名の通り、花には芳香を楽しむことができます。

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緑の大きな広葉樹、クスノキに感じるような香りとともに、桃の青っぽく重い香りにも似たような香り、桜餅の粉っぽく香り、杏仁豆腐を紅茶でいただいているようなほのかに甘い香りが感じられました。

花よりだんご。色気のない、表現力の乏しい香りの説明でごめんなさい。

だけど、なんとも複雑で軽々しくない、和(日本)のテイストに調和する魅力的な香りでした。

たくさんの種類があるサクラの中で、匂う花を持つサクラはそんなに多くはありません。
花の芳香を楽しみたいなら、行き交う人も少なく、また飲食店が開いていない早朝か休日がおススメです。
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この並木を過ぎたところに太田姫稲荷神社とその御神木があり、大きく変容するこの街を守ってくれています。

太田道灌が愛娘の姫君の重い病の快癒を祈願したことに由来するこの神社は、姫君の病の快癒後も江戸城の鬼門を守ったといいます。

高層ビルとアスファルトに囲まれてひっそりと佇むその神社に参拝すると、太鼓にのったかわいらしい色白のお狐さんが印象的です。

もともと江戸の時代に駿河台の武家屋敷に植えられていた桜であったことから駿河台匂と名づけられた桜ですが、幕末と共に一度はその姿を消してしまったそうです。

後に、神保町にある古本屋でその存在を知った地元の人々の温かい想いから、昭和63年(1988年)にこの地に縁のある桜が戻ってきました。

時代とともに私たちのライフスタイルは大きく様変わりしていくけれど、いつまでも変わらずにこの桜を大切にしたいものですね。


駿河台匂は遅咲きですが、駿河台道灌道では只今丁度、見(匂い)頃を迎えています。

駿河台道灌道へは、JR中央線「御茶ノ水」聖橋口から徒歩5分、または、都営新宿線「小川町」から徒歩1分程度です。